恋愛と尊敬
僕は恋愛経験に乏しい。中学高校と野球に夢中だったこと、そしてそもそも高校は男子校であり加えて僕は隣市の高校に通っていたので近くに女性要素が全くなかったのも相まって女性と付き合ったことがないのだ。
ここまで環境のせいにしているような言い分であるが、一番は自分自身の行動力と度胸のなさだろう。それは分かっている。そこがしっかりしているならば仮に高校でうまくいかなくても、大学に入って彼女ができているはずであるし。
というわけでつらつらと自分自身の経験不足な現状を書き連ねてきた。
ここでタイトルの「恋愛と尊敬」についての方向にもっていこうとおもう。いや、女と付き合ったことがないやつが何言ってんだって、そのくらいこっちは分かってんだよ。伊達に一人やってねえからな。そんなことは百も承知で、机上の空論について書く。
一般に恋愛感情というのは、基本的には外見の魅力に左右されるものではないかと思っている。年を重ねて「結婚」という選択肢が入ると違うものなのかな、そこは分からない、まだ若いし。
ともかく、若者においては外見が占める重要度がほとんどではないかと思う、周りの話を聞いているとそうだ。
僕の場合、外見はさして重要ではないのかなと感じている。当然ながら綺麗な人のほうが不細工より好きであるし、街中で目を向けてしまうのはそういう人だよな、これは俺だけじゃないだろ。
しかし、ここ数年で思いを寄せた人について考えてみると、人間的に尊敬できる人が多かったと思う。
予備校時代(僕は一年浪人している)は理系の女の子が好きだった。
彼女は獣医学部を目指していて、とにかくよく勉強する子だった。そして集中力も並外れていた。自習用の部屋で学習する時、彼女と居合わせることも多かったがとにかく席から離れない。椅子に接着剤でも塗りたくられているんじゃないかってくらい。僕なんかは50分頑張って座っているのが限度で、その度に行きたくもないのにトイレに行ったり、予備校回りを散歩していたり。勉強しなさい。
だから彼女の存在はとても眩しかった。僕は文系であり分野は違うものの、とても刺激を受けた。彼女に何とか近づきたい、負けたくないという一心で勉強していたし、何とか第一志望に受かったのはその思いも大きかったのではないかなと今更ながら思う。
結局想いを遂げることは叶わなかったけど、そんな風にして憧れの存在に手を伸ばし続けた青い記憶が懐かしい予備校時代。
そして今。同年代の子に全然ときめかないのだ。
わかっている、同年代の子、大学の子にも可愛い子はたくさんいるしそれを僕が評するのもいささかお門違いという思いだってあるよ。
でも、何というか。可愛い子を見ても
「あ、可愛いね。」(完)
これになってしまうのだ、つまりは中身を知りたいと思えない。
むしろ年の離れた社会人の方に心惹かれる場面が多い。
愛読書の「源氏物語」でいう藤壺の宮。(藤壺の宮は作中トップクラスの美人だけど)
しっとりとして奥ゆかしい雰囲気のある人が好きなのだ。
ふと目をやった時に気品が漂うというか、知的さが垣間見えるような。
すっきりとした大人の女性は美しいと思うし、人としての性質も優れているのだろうと感じてしまう。
環境が人を作り、年月が人を育てる。
自分を取り巻く環境の数も、歩んできた年月も。
それが並の若者とは違う大人の女性は、困難を乗り越えてきた強さを持っている。
人の内面というのは外に滲み出るもの。そんな気強さを持った彼女らが美しくない訳がないのである。
おそらく僕の恋愛は一度負けてから始まる。この人には敵わない、そう思った後に「できるだけ近づきたい、彼女に対して恥じることのない自分でいたい」そういう思いで努力していくのが僕なんだと思う。
プライドだけは人一倍高いので、他人がどう思うとかは抜きに「負け」を感じられないことが多いのが僕の恋愛下手な一面かもしれない。しかし、年上の美しい大人の女性の前では「負け」しかない。早く負けたい。心からそう思う。
蛇足ながら最後に結婚観について。僕は今のところ結婚願望はない。自分のお金は自分のために使いたいし、これからの時代子供たちが生きづらくなってくると予想しているから。
子供のことが頭をよぎる結婚は自分にとっては現実的ではないと思っている。その反面自分の性質を顧みて恋愛よりも結婚向きなのではないかと思ってもいるが。はあなんだこのムリゲーは。
そんな僕であるが万に一つ結婚するならば「この人のためなら死んでもいい」という人しかありえないなと。自分でも笑ってしまう。
僕は自分のことをリアリストだと思っているが、その反面途方もないロマンチストでもあると自覚している。この考えはロマンチシズムそのものである。
しかし冷静に結婚について考えてみるとその思いに帰結する。
そうなれないならば一人で生きていくしかないなと。
極端にプライドが高く、自己愛に満ちている自分自身が結婚するならば、そう思える相手じゃないとお互いに不幸になるであろうということをわかっているのだ。
しかしそんな相手に出会えることは奇跡に等しい。だから僕はきっと結婚は出来ないのだろう。恋愛もできるかどうかも怪しいが。